2008年12月7日日曜日

アーキテクチャの生態系

濱野智史(2008)『アーキテクチャの生態系:情報はいかに設計されていきたか』NTT出版、を読んだ。Googleがネットのインフラを形成するととらえ、Blog、Wiki、Mixi,2ちゃんねる、YouTubeなど、基本的な仕組みを、ユーザーが意識することなく、行動をコントロール仕組み、すなわちアーキテクチャとしてとらえ、それがあたかも生態系のように変容していく様をとらえようという試みだ。

これらの仕組みのそれぞれを整理して理解することができたこともありがたかったが、濱野氏の、ネットにおける、日米の社会の比較は、とても示唆に富んでいた。すなわち、米国発のネットの仕組みは、個人が実名を出し、意見を言い、それによって、社会的合意を形成する米国の社会制度・文化を反映している。一方、Mixiや2ちゃんなるなどの日本で発展してきたシステムは、共同体内の閉鎖的関係をより親密にしがちな、日本社会の制度・文化を反映しており、個人の実名での、広範囲の社会に対する、意見表明を、想定していない。Mixiでのコミュニティを米国的民主主義の形成に利用しようと試みては、あまりうまくいっていない試みを見ると、濱野氏の整理は的を得ている。

わたし自身がMixiで書いている日記の約7割が広範囲の読者を想定、残りの3割がごく親しい友人を想定して書いており、公開範囲を後者では限定することにより、この使い分けをコントロールしている。後者についてはこの方法でいいが、前者については、特にMixiでは原理上、限界がある。そこで、本日から、広範囲に公開するものはGoogle系のBloggerにし、そこにMixiからリンクを張る形にしてみることにした。Bloggerにしたのは、サーチでは濱野氏が言うまでもなく、圧倒的に強力な基盤インフラであるGoogleとの相性が、キーワードの設定も含め、良いためである。ただこのBloggerのエディター、改行がないので、使いにくい。まあ、慣れてくれば、効率よくできるのであろうか。

おりしもそんなMixiが招待制から、自由参加に、参加の条件を変更するという。会員数の増加を図るための処置らしいが、招待の敷居がもともと低いので、具体的な変化は読みにくいが、濱野氏の例によると大きなモデルチェンジということになる。注目したいところだ。

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